
2025年2月、千葉県大多喜町主催の「協働のまちづくりワークショップ」に登壇してきました。今回の研修は、町民と行政職員が同じテーブルを囲んで一緒に学ぶもので、毎年、「住民と行政が連携してまちづくりを進めていくこと」を目指して、取り組まれているそうです。
今回ご依頼いただいた大多喜町企画課さんからは、「”協働”と聞いて敷居を高く感じるのではなく、気軽な気持ちで向き合ってもらえるようになってほしい」というご要望を受け、ゲームや講義、今回新たに考案したまちづくり提案を考えるワークいう構成で研修を企画しました。研修のテーマは「自分たちのまちは自分たちでつくる」。私たち6時の公共の団体のミッションにも通じるもので、その感覚を楽しく身に着けていただけたらという気持ちで臨みました。以下、レポートをお届けします。
▶研修会の情報はこちら「協働のまちづくり研修会」https://www.town.otaki.chiba.jp/soshiki/kikaku/2/1/2/2238.html
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■研修時間:2時間45分 ■参加者数:14名(2グループに分け、ゲーム2セット使用) ■スタッフ:メイン講師1名、各グループの進行をサポートするテーブルファシリテーター2名 |
冒頭、アイスブレイクと自己紹介で、ゲームやワークに取り組む仲間同士、まずは互いに打ち解け合うための時間を用意しました。顔見知りの方もおられたようですが、日頃、町民とはあまり接することがない部署に在籍する職員の方、同様に、あまり役場の職員や他の町民同士でもあまり話したことがないという町民の方もおられました。職業や年代も様々。さて、今日はどんな化学反応が起こるのでしょうか。
前半の「僕基地」を使ったゲームは、皆さん童心に返ったようにワイワイと楽しんでくださった上、なんと、すべてのペアが制限時間内に「セイガン達成」でゴールするという快挙を達成!プレイの過程で出会った人物(カード)のうち、業界経験値の高い「まちづくり公社」、多くの市民の力を集結した「市民カーニバル実行委員会」など、おのおの、セイガン達成においてよい働きをしてくれたキーマンだと思う人物を振り返りつつ、清々しい気分で後半の講義とワークに突入していきました。

講義では、市民が重要な決定を行う「市民決定」や、行政や議会が市民の意見を聞いて意思決定を進める「市民参加」について理解を深めていきました。続いて、市民と首長(行政)や議会との関係性を正しく理解した上で、市民がどう行政や議会を動かしていけるのかを考察していきました。こうした関係性への理解の土台の上で、協働、すなわち、こうした各立場がどのように手を取り合うべきなのかを、考えていきました。

頭がちょっと一杯になってしまったところで、いろいろ消化して呑み込むための仕上げのトレーニング「まちづくり提案を考えるワーク」に突入です。
全国の過疎地で顕在化している「交通難民」をテーマに、まちの人たちや知人友人など人々の具体の声や情報などをもとに、グループで対話を重ね、解決案を導いていただくというこのワーク。成果物として、まちの議会への請願や、市民が主体的に取り組む市民プロジェクトの形として、提案書をまとめて発表してもらいました。

議論の中では、反対意見を持つ人たちにも納得を得られるアイデアは何か、僕基地ゲームの中で出てきた「オピニオンメガホン」を立てよう(人々の中で議論を巻き起こす行動)など、ゲームでの学びの要素もさっそく取り入れながら、リアリティある様々な光る提案が生れました。まちづくりに正解はありませんが、こうしてみんなが知恵を絞り合い、行政や市民、議会など、各立場が役割を全うしてすべきことをする、時にがっちりと手を組んで共通の目標達成に向けて共に挑んでいく、そうした積み上げが大事なのだろうと思います。

今回のように、町民や職員が同じテーブルで共に学ぶというスタイルは、はじめはドキドキするかもしれませんが、互いを知り、刺激を受けることができる、素晴らしい方法だと思いました。私たちも、今回のプログラムの実践で得た経験値をもとに、さらに他の自治体でも同様の研修を展開できたら、そのまちの“自分たちのまちは自分たちでつくる”「まちづくりプレイヤー」の育成に、貢献できるのではないかと思えました。このような機会をいただいた大多喜町企画課さんと、参加してくださった皆さんに感謝いたします。
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《大多喜町企画課さんから振り返りのコメントをご紹介します》 町民と行政職員を交えたワークショップは初めての開催でしたので、お互いが遠慮してしまわないか不安なところではありましたが、ボードゲームということもあって笑い声が聞こえるなど楽しい雰囲気で研修をスタートすることができました。 住民の声を行政へ届ける手段だけでなく、地域資源の活用と財源の確保、住民と行政それぞれの考えをどうまとめるのかなど、理想に寄り添った実現できそうなプランを町民と行政が一緒に考える機会はそうそう無いので、非常に有意義な時間になったと思います。 担当として嬉しかったのは、参加された町民の皆さんがとても積極的であったことです。今後もまちづくりに興味・関心が増えるよう啓発していきたいです。 |
参加者から、アンケートに寄せられた声
(1) 研修を終えて、今後の自分の取り組みの第一歩は?
●少子化、過疎化の進む地域の子育て世代として、子どもたちを育てる環境の充実に対し、積極的に街に声を上げていきたい。活動を重ねることで、魅力的なまちづくり、移住促進につながるよう意識して行動したい(一般参加)
●今日学んだことをベースに、声をまとめて行政と共により良く住みやすい街にしていきたい(一般参加)
■行政職員として、研修会に参加して、あらためて考え方が凝り固まっていることに気が付いた。様々な視点から物事を見て考えられるよう、常日頃から意識して行動したい(行政職員)
■立場の違いを理解し、様々なプランを用意できるような人材になっていきたい(行政職員)
■町民目線の行政を常に心がける(行政職員)
(2) 印象に残ったこと、学んだこと
●たくさんの学びをありがとうございました!普段、役場の方や町の方と接することがないので、話し合いできてよかったです!(一般参加)
●政治や行政についての学びを深められたことがとてもよかった。協働のあり方をもっと多くの町民に知ってもらえたらと思う(一般参加)
■声を聴いてそれをまとめ、行動を起こすと、社会を動かせるんだなあと思った。
■原点に戻れる良い機会でした。いろいろな角度から物事を考える機会は定期的に必要だと思った(行政職員)
■このようなボードゲームは初めてで新鮮でした(行政職員)